知的障害者更生施設とクラフト
茨城県岩瀬町にある【上の原学園成人寮】という知的障害者のための更生施設を紹介します。更生施設といっても堅苦しいところではなく、18歳以上の知的障害者が、入所又は通所して施設で生活をしながら、更生に必要な知識を身につけたり必要な訓練を受ける施設(入所施設)をいいます。
茨城県の大宮地区だけでも40近くの更正施設があります。
その中でも『上の原学園』は、‘医は仁術’を実践されてきた医師である小松嵜氏と先代の思いが、全国でもめずらしい全寮制の施設の開設を1963年に実現しました。もともとは山林というおよそ1万平米の広大な敷地内には、児童施設、成人寮や広々とした芝生のグラウンドがあります。そこに100名以上の知的障害のある方々が、親元から離れて日常生活を楽しみ、そこから学校に通い、またいろいろな作業に従事しています。上の沼や林などの自然に囲まれたそこは、さながら避暑地のようでした。
『上の原学園成人寮』には、現在50名が入所しています。
「人間誰しも平等。相手と同じ目線に立つ」「どの人にも良いところがある。それを伸ばせば欠点はカバーできる」を信条にしたスタッフ18名が支援にあたっています。知的障害のある方々の年齢は20-50才代。高齢化する家族の負担も大きく、入居せざるをえない方も多いとのことです。そのため、入居年数が10年以上という方も少なくありません。
ここでは、各々の得意分野に分かれて、内職やガーデニングなどの作業訓練に励んでいます。
手芸はビーズ、パッチワークなどもあり、紙ひもクラフトは2001年から導入、現在5人とスタッフ2人のサポートで取りかかっています。5人の方は、いずれも重度障害(寮育手帳Aランク)の方々です。寮育手帳Aランクというと、IQ概ね35以下、または身体障害手帳1-3級とIQ概ね50以下の知的障害が重複している方で、日常生活において常時介護を必要とする程度の方をいいます。
最初は覚束なかったようですが、今ではスタッフの方々と協働で、かごバッグや収納ケースを作っています。施設に出入りする保険の外交員や医者、看護士などがオーダー注文してくれるそうです。また、近くの授産所専門で店でも販売しているそうですが、どれも好評とのことです。知的障害者にとって、こうした作業訓練が、普段の生活へのはりや自信につながってきているようです。
ここで、スタッフの方のレポートを紹介します。
report クラフト作業の個別支援の様子
クラフト作業に入る前に、板に釘を打ち、毛糸で交互に編む練習を重ね、実践に移行する方法をとりました。以下、個別の状況をまとめました。
Aさん 男性25歳、療育手帳A
編み終わりの達成感を得て、積極的に取り組むようになる。スタッフの
指示を静かに待って座っていられるようになった。クラフト以外の作業
も落ち着きがみられるようになってきた。
Bさん 女性53歳 療育手帳A IQ24
ひとつの作業に集中してしまうため、切り替えがスムーズにできない場合もあるががクラフトは覚えが早かった、編み終わると得意気に報告するようになり、普段の生活にも少しずつ切り替えができ始めてきた。
Cさん 男性38歳 IQ測定不能
クラフト作業が好きなので、褒められるたびに意欲が増していくようだ。
Dさん 男性39歳 療育手帳A IQ31
てんかん、脳性まひ、肢体障害を持っているが、手先の機能訓練をかねて作業に取り組んでいる。編むことへの集中力が持続しないので長く作業はできないが、飽きずにクラフトと向き合っている。今後一人で編んでいくことできるようになると思われる。
Eさん 女性47歳 療育手帳A IQ35
目が不自由でどこまで見えているのかわからないが、左手を基点に編むことができる。スタッフが見守ると編み続けことができるが、任せたままにすると一段を編むのに1時間かかることもある。「上手に編めたね」と声かけをして自信を持たせるようにしている。
やる気を高揚する【声かけ】と一緒に作業しているという安心感を与える【見守り】が障害者とのコミュニケーションに不可欠なようです。
『授産所専門店との付き合いも大切だけど、どうしても限られた人の目にしか留まらない。多くの人と触れ合う場を、地元のクラフトボランティアの方々と作っていけたらと思っています』
とスタッフの方が話してくれました。
レポート作成に際しまして、下記サイトを参考にしました。
茨城県大宮地方福祉事務所 http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/hoken/omiyafu/
posted by ゆめひもくらぶ at 00:00
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| 福祉とクラフト
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